「Annex SL(附属書SL)」って何?

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「Annex SL(附属書SL)」って何?

★次期ISO9001、ISO14001は「Annex SLが下敷きになる。」って話を聞きましたが、Annex SLとは何ですか?

-「Annex」というのは「附属文書」とか「別館」という意味ですが、ここで言われているのはISOのある文書の「附属文書」のことで、SLは附属文書の順番を示す記号です。

★「ISOのある文書」って何ですか?

-正確には「ISO/IEC業務指針第1部」という文書で、これはISOで規格開発に携わる委員の方々のためにISO及びIEC(国際電気標準会議)が合同で用意した、ISOの規格開発業務のためのルールです。

★ISO規格開発業務用の文書なら、一般の人には関係無いのではないですか?

-いいえ、このAnnex SLという文書は,制定されるマネジメントシステム規格が別々の専門委員会(TC又はPC)で開発された結果、用語の定義や章構成が異なり、「複数のマネジメントシステムを適用しようとする組織で混乱を起こしている。」という声に応え、ISO9001やISO14001の次期改訂の準備の意味も兼ねて、2006年から様々なマネジメントシステム規格の共通部分の指針作りを検討し、2013年4月に発行された文書です。各マネジメントシステム規格の開発に当たるそれぞれの専門委員会は、共通部分には原則としてAnnex SLを尊重して取り組むことを要求されていますので、一般の方にも参考になる文書です。

★Annex SLはどう利用できるのですか?

-規格の改訂が決まらなくても、Annex SLの発行によって共通部分はほぼ固まっていますので、改訂規格の発行に先立っての研究に使えるのです。

-また、Annex SLはすべてのマネジメントシステムの共通部分の指針を規定しているということは、それは取りも直さず、QMS、EMSにとらわれない経営の中核的なレベルで考えるべき「マネジメント」についての参考になる文書にもなっているとも言えます。

★ISO9001やISO14001の次期改訂での規格の変更部分には、Annex SLの関係で変わった部分と、規格そのものを変えた部分があると言うことですね?

-はい、そうです。

★Annex SLで規定されている内容は何ですか?

-Annex SLの規定は大きく分けると三つあります。

-一つ目には、規格の構造(章構成)があります。今までは規格によって独自の箇条立てになっていましたが、これを、序文、1. 適用範囲、2. 引用規格、3. 用語及び定義、4. 組織の状況、5. リーダーシップ、6. 計画、7. 支援、8. 運用、9. パフォーマンスの評価、10. 改善、という構造に決めました。これをAnnex SLでは「上位構造」と呼んでいます。複数規格を適用するために使用しようとする組織にとって取り組み易くなったと言えます。

-二つ目には、共通用語とその定義が決められたことが挙げられます。今までは規格毎に用語とその定義の規定が違うことがあり、利用者は戸惑うことがありましたが、共通用語を22項目挙げて改めて定義をしていますので、今までの理解が適切であったかどうかを確認することができます。

-三つ目には、箇条4以下の共通文書が決められたことです。共通文書は個別のマネジメントシステム規格にそのまま取り込むことが原則として求められています。ただし、共通文書を変えて規格を記述することが必要と担当専門委員会考えた場合は、Annex SLを制定したISO技術管理評議会(TMB)に相談をできることになっています。

★Annex SLを使った共通化によって何が変わりますか?

-組織から見て規格の改訂で何が変わるかは、従来の規格をどう理解していたかによって異なりますので、組織自らが該当するマネジメントシステム規格、あるいは規格発行前の段階ではAnnex SLを調べて考えていただきたいと思います。Annex SLは、日本規格協会のウェブサイトにアクセスすれば無料でダウンロードできます。

-Annex SLの共通文書では、上位構造の箇条4「組織の状況」は組織の内外の置かれている状況に立脚して、当該組織のマネジメントシステムを確立することを求めています。これは、今までは各規格の序文には記載されていましたが、要求事項として明示されていませんでした。これがISO9001やISO14001などのマネジメントシステム規格に取り込まれることになりますので、今まで「規格ありき」のマネジメントシステムを構築してきていないか、組織自身の置かれている状況、利害関係者の期待に応えたマネジメントシステムになっているかを一度レビューしてみることが必要だと思います。

-それと、Annex SLは、それぞれのマネジメントシステム固有の事情を反映した記述を織り込むことができないので、「原則」の記述が中心になっています。従って、固有のマネジメントシステム規格の記述は、Annex SLの共通文書を取り込んで抽象的な書き方になると思われます。ですから、組織がマネジメントシステムを構築する際には、「原則」から自分たちは何をしければいけないかを、利害関係者の視点も忘れずに考えることが大切です。

★Annex SLは統合規格を目指すのではないのですか?

-ISOは、マネジメントシステム規格毎に目的が違うために、規格そのものを一つに『統合』することはできないと考えています。ただし、統合したマネジメントシステムとして運用することが組織にとって適切だと考えられるとき、規格がバラバラに作られていると運用が困難と感じることになりますので、そうならないようにしたいと考えて規格を整合させるための取り組みと言えます。マネジメントシステムをどの程度統合するかは、組織が自らの組織と利害関係者を考慮して決定すべきことですので、必ずしも「統合マネジメントシステム」や「統合審査」を勧めようと考えているわけではありません。

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